ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は波長ごとの明るさを記録する
ジェイムズ・ウェッブの画像の色は、肉眼で見る宇宙の色とは異なる。ウェッブが主に観測する赤外線は、人の目には見えない。検出器がフィルターごとに記録した明るさに見分けやすい色を割り当て、一枚の画像に重ねている。
ウェッブのカメラには、異なる波長帯を通す複数のフィルターがある。検出器はフィルターを通った光を、画素ごとの明るさとして記録する。一つのフィルターで得たデータは、明暗を示す白黒画像として見ることができる。
同じ天体を複数のフィルターで観測すると、波長ごとに異なる姿が現れる。塵に遮られた場所を通り抜けやすい光もあれば、特定のガスや塵から強く出る光もある。これらを色分けして重ねると、波長ごとの違いを一目で比べられる。
フィルターごとの明るさを一枚のカラー画像に重ねる
まず、暗い部分と明るい部分の両方が見えるように、各フィルター画像の明るさの範囲を調整する。少しずれた画像は同じ位置にそろえ、検出器の不具合や宇宙線が残した跡を取り除く。その後、各フィルターに目で見える色を割り当て、複数の層を重ねる。
通常は短い波長を青寄り、長い波長を赤寄りに置く。波長の順番を色の順番に移す方法である。フィルターが三つより多ければ黄やオレンジなどの中間色を加えたり、複数のフィルターを同じ色で表したりする。色の割り当ては、フィルターの組み合わせや強調したい構造によって変わる。
目に見えない光を人が区別できる色で示したものを代表色という。複数のフィルター画像を位置合わせして重ねた結果が合成画像である。明るさと構造は観測値だが、どの色で表すかは画像の制作者が決める。
最初のディープフィールドは六つのフィルターを四つの色で表した
ウェッブの最初のディープフィールドは、銀河団SMACS 0723の方向をNIRCamで観測した画像である。六つのフィルターが使われ、F090WとF150Wは青、F200WとF277Wは緑、F356Wはオレンジ、F444Wは赤に割り当てられた。
フィルターの数と画像に使う色の数は、必ずしも同じではない。最初のディープフィールドでは二つのフィルターを青に、別の二つを緑に割り当てた。画像の青は肉眼で見える青い光や一つの波長を意味しない。どのフィルターがどの部分に表れているかは、この画像の色の対応表で確かめる。
南のリング星雲の二枚では、青が異なる波長を表す
南のリング星雲の比較画像は、同じ天体を写した二枚のカラー画像を並べたものだ。左は2022年6月3日にNIRCam、右は6月12日にMIRIで観測された。観測日と波長帯が異なるため、それぞれの装置のデータを別々の合成画像にしている。
左のNIRCam画像の青は、中心波長が約0.9マイクロメートルのF090Wフィルターのデータである。右のMIRI画像の青は、約7.7マイクロメートルのF770Wフィルターのデータだ。同じ青でも、実際に観測した波長帯は大きく異なる。したがって画像ごとに色の対応表を確認する必要がある。
NIRCam画像では、多くの恒星と恒星光の回折スパイクがよりはっきり見える。MIRI画像では、中心の白色矮星を囲む温かい塵の構造が目立つ。二枚を並べることで、異なる赤外線波長で強く現れる特徴を比べられる。
色だけでは物質の成分は分からない
代表色は、どの波長のデータが強いか、塵や恒星がどこで目立つかを比べるために使う。ただし、画面の赤い部分だけを見て物質の名前や温度を決めることはできない。
成分を調べるときは、光を波長ごとにさらに細かく分けたスペクトルを見る。原子や分子は特定の波長の光を放出したり吸収したりして、固有の模様を残す。天文学者はその模様をフィルターデータや物理モデルと比べ、天体の性質を調べる。
画像の説明で観測装置と色の対応表を確かめる
ウェッブ画像の説明では三つの点を確認するとよい。どの装置で観測したか、各フィルターにどの表示色を割り当てたか、複数のデータを一枚に重ねたのか二枚を並べたのかである。これを確認すれば、画像の色が何を比べているのか分かる。
ジェイムズ・ウェッブの画像は、目に見えない赤外線の観測値を、人が区別できる色に置き換えた資料である。装置とフィルター–色の対応を確かめると、それぞれの色がどの観測を表しているか読み取れる。